【中学生向け】人権作文の書き方とテーマ選びのコツ・構成がわかる例文

【中学生向け】人権作文の書き方とテーマ選びのコツ・構成がわかる例文

「人権作文を書くように言われたけれど、何をどう書けばよいかわからない」という中学生さんは少なくありません。

テーマが広すぎて決められない、書き出しでつまずく、構成の組み立て方がわからない――こうした悩みは、書き方の「型」を知ることで解消できます。

この記事では、テーマ選びのコツから序論・本論・結論の構成方法、書き出しのパターン、完成例文まで、そのまま参考にできる形で解説します。「この型で書けばよさそう」と感じてもらえる内容になっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

人権作文で書くべきことの整理

人権作文に決まった「正解のテーマ」があるわけではありません。法務省が毎年実施している「全国中学生人権作文コンテスト」でも、「日常生活の中で感じたことや体験したことをもとに、人権について考えたことを書いてほしい」という方針が示されています。

つまり、「身近な体験」+「人権について考えたこと」+「これからどうしたいか」の3要素を筋道立てて書くことが、人権作文の基本です。大きな社会問題を取り上げなくても、日常のちょっとした場面から書くことができます。

テーマ選びのコツ:書きやすいテーマの3つの条件

テーマ選びで迷う場合は、以下の3つの条件に当てはまるかどうかを確認してみてください。

  • 自分の体験を入れられること:経験談があると、具体的に書きやすくなります。
  • 心が動いた(モヤっとした)場面があること:「傷ついた」「おかしいと思った」「もっとできたかもしれない」という感情は作文の原動力になります。
  • 「これからどうしたいか」につなげられること:結論に向けて考えを広げやすいテーマが書きやすいとされています。

3つすべてに当てはまるテーマが見つかると、構成がまとまりやすくなります。

中学生が書きやすいテーマ例

  • クラスでのからかい・あだ名・悪口
  • 見た目・性別・成績などによる差別的な言動
  • 仲間外れや孤立を目にしたとき
  • 障害のある人や高齢者への接し方・配慮
  • 外国にルーツのある友だちへの周囲の反応
  • SNSやネットでの誹謗中傷・差別的な書き込み
  • 災害・戦争のニュースを見て感じたこと

「大きな出来事がなければ書けない」と思う必要はなく、日常のひと場面で十分です。自分の記憶の中で「心が動いた場面」をまず書き出してみるのが、テーマ決定への近道です。

人権作文の基本構成:序論・本論・結論の3部構成

人権作文には、「序論・本論・結論」の3部構成が適していると、多くの教材で説明されています。

  • 序論(書き出し):テーマと、そのテーマに興味を持ったきっかけを書きます。
  • 本論(体験+考えを深める部分):具体的なエピソード→感じたこと→なぜそう感じたか→調べたこと・考えの変化、という流れで書きます。
  • 結論(まとめ・今後):テーマについての自分の意見と「これからどうしたいか」を書きます。

この流れを意識すると、「何を書くか迷って止まってしまう」という状態を防ぐことができます。

書き出しの考え方:冒頭でつまずかないために

人権作文の書き出しでよくある失敗は、「人権とは、人が生まれながらに持つ権利のことです」のような、教科書的な定義から始めることです。

書き出しは「自分の体験や身近な出来事」から始めるのが自然で読み手にも伝わりやすいとされています。冒頭で具体的な場面を描写することで、読み手が作文の世界に引き込まれやすくなります。

書き出しのパターン:3つの型

以下の3つの型を参考にしてみてください。どれか1つに当てはめることで、書き出しが安定します。

型A:体験 → 感じた疑問

書き出し例A

先日、クラスで一人の友だちがみんなから笑われている場面を見ました。

そのとき私は、「これは本当に冗談で済ませていいことなのだろうか」と疑問に思いました。

型B:ニュース・本 → 自分の生活とのつながり

書き出し例B

ニュースで、いじめを苦にして命を絶った中学生の話を聞きました。

私の学校でも、からかいのような言葉が飛び交うことがあります。

そのニュースを聞いたとき、他人事とは思えず、胸が苦しくなりました。

型C:自分の失敗・反省から

書き出し例C

私は以前、友だちの見た目を冗談のつもりでからかってしまったことがあります。

しかし、そのときの友だちの表情を思い出すと、今でも胸が痛みます。

「体験 → 感じたこと・疑問点」という流れで書き出すと、自然に本論へとつながっていきます。

完成例文(テーマ:クラスのからかいと人権)

以下は、3部構成をもとにした中学生向けのモデル例文です。テーマは「クラスのからかいと人権」です。

完成例文

【序論】

先日、休み時間に、クラスの一人が「デブ」「ブス」とからかわれている場面を見ました。周りにいた友だちは笑っていましたが、からかわれていた友だちの顔は笑っていませんでした。私はそのとき、「これは本当に冗談として許されることなのだろうか」と強い疑問を感じました。

【本論】

私は以前、同じように見た目のことでからかわれたことがあります。そのときは表面上は笑って受け流しましたが、心の中ではずっとその言葉が消えませんでした。今回、からかわれていた友だちの表情を見て、昔の自分の気持ちを思い出し、胸が苦しくなりました。

そこで、いじめについて調べてみると、「冗談のつもりでも、相手が嫌だと感じればそれはいじめになる」という言葉に出会いました。また、言葉の暴力によって深い心の傷を負う人が少なくないことも知りました。

私はそれまで、「冗談だから仕方がない」「その場のノリだから」と思っていました。しかし今回の出来事や調べたことを通して、言葉が人の「心の安全」を奪ってしまうことがある、と気づきました。

【結論】

これからは、からかいの言葉を聞いたときに、ただ笑って見ているだけの自分ではいたくないと思います。まずは、自分が使う言葉を選び、相手がどう感じるかを考えたいです。そして、誰かが傷つくような言葉が使われたとき、「その言い方はよくないと思う」と、勇気を出して伝えられる人になりたいです。みんなが安心して笑えるクラスを目指して、自分にできることから少しずつ変えていきたいです。

完成例文のポイント解説

序論:具体的な場面から始めている

「いつ・どこで・何が起きたか」を具体的に書くことで、読み手が場面を想像しやすくなっています。「冗談として許されることなのだろうか」という疑問で締めることで、本論への流れが自然につながっています。

本論:体験 → 気持ち → 調べたこと → 考えの変化

「考えがどう変わったか」を書く部分が、人権作文の評価ポイントになりやすいとされています。「以前は〇〇と思っていたが、今は△△と気づいた」という変化を入れることで、作文に深みが出ます。調べた事実を入れる場合は、「その事実を知って自分はどう感じたか」をセットで書くのがコツです。

結論:「これからの自分」を具体的に書いている

「勇気を出して伝えられる人になりたい」のように、具体的な行動目標を書くことで、まとめが締まります。「完璧ではないけれど、少しずつ変わりたい」という姿勢も人権作文として十分に評価されるとされていますので、無理にきれいごとにまとめる必要はありません。

結論のまとめ方:「これからの自分」を書く

結論では、以下のような表現を参考にしてみてください。

結論の言い回し例①

これからは、からかいの言葉を聞いたときに笑ってごまかさず、「やめよう」と言える自分になりたいです。

結論の言い回し例②

困っている人を見かけたとき、勇気を出して声をかけることを心がけたいです。

よくある失敗とその改善方法

人権作文で多く見られる失敗と、改善の方向性を整理します。

失敗①:教科書的な説明だけで体験がない

NG例

人権とは、すべての人が生まれながらに持つ権利です。差別はいけないことです。いじめもよくありません。これからも人権を大切にしていきたいです。

この例は体験が一切なく、一般論の羅列で終わっています。自分の体験や身近な出来事を必ず1つは入れるようにしましょう。

失敗②:差別した人を一方的に責めるだけ

NG例

差別をする人は絶対に許せません。そういう人がいるからいじめはなくならないのだと思います。

相手を批判するだけでは、人権作文として浅い内容になりやすいとされています。「自分も同じようなことをしていたかもしれない」「自分はどう変わるか」に視点を向けることで、深みのある作文になります。

失敗③:調べた内容をほぼそのまま写している

調べた事実を長く引用するだけでは、「自分の言葉」が失われてしまいます。調べた情報は短くまとめ、「その事実を知って自分はどう感じたか・考えが変わったか」を必ずセットで書くようにしてください。

タイトルの付け方

タイトルは、体験の内容を少し連想させる10字前後のものが読み手の興味を引きやすいとされています。以下のような表現が参考になります。

  • 「笑いの裏にある傷」
  • 「『からかい』って何だろう」
  • 「一言が誰かを救うとき」
  • 「違いを認め合うクラスへ」
  • 「スマホの中の差別を見て」

作文の内容が決まってから、最後にタイトルを考えると整合性が取りやすいです。

まとめ:書く前の準備が構成を決める

人権作文は、書き始める前に次の4点を箇条書きでメモしておくと、構成が整いやすくなります。

  • どんな出来事・場面があったか
  • そのときどう感じたか
  • なぜそう感じたのか(過去の経験・調べた事実)
  • これからどうしたいか

この4点が揃えば、序論・本論・結論の骨格はほぼできあがります。「うまく書こう」とするよりも、「自分の言葉で正直に書く」ことを意識するほうが、読み手に伝わる作文になります。

まずは、生活の中で「心がモヤっとした場面」を1つ思い出すところから始めてみてください。その1つの場面が、作文全体の出発点になります。